ほら、そうやってすぐ死ぬ。
ウミガメのスープ
ホームセンターのトイレに入り、サバイバルナイフをジーパンの懐に忍ばせた。それから用も足さずに水を流しトイレを出た。
サバイバルナイフを身に着けているところを誰かに見られるといろいろとめんどくさい。しかし、こうして構えていないと、いつ誰に襲われるかわからない。
人通りの多いところを選んだのはいいが、この人通りのせいで、部活帰りの中学生、買い物帰りのおばさん、犬を散歩して歩く白髪のおじいさん……どれも刺客に見えて、緊張する。
右手をお腹に添えて、いつでも引き抜けるようにした。かえってこの格好が目立って、傍から見ると、お腹が痛い女の子にしか見えない。
変な女の子だ、はっきり言って。
まあでも、人が死ぬところを見たいという理由で人を殺そうとしているんだから、ある意味変な人かもしれない。グロテスクとか、バイオレンスとか、人が死んだり、血が噴き出したり、そういうのが好きなだけなのに、なんで理解されないのだろう。
なんでそういう趣味を持っているってだけで排除されるのだろう。
男が男を好きになるとか、男が女の恰好をするとか、そういう性癖の方がよっぽど気持ち悪いし、排除されるべきだと思う。
殺人は法律で禁止されている。でも、同性婚だって禁止されている。でも、同性で恋愛を楽しんでいるし、平気で公言している。それに対して周りの理解も得られる。
でも、私が例えばどこかのメディアに「人殺しが趣味で、人の身体を傷つけるのが好きなんです。」と言えばどうなるだろうか。
当然、批判される。傷つけられるのが趣味だって人とペアになってそういう行為をしたとしても、批判される。
同性愛とバイオレンスと何が違うのだろう。