ほら、そうやってすぐ死ぬ。
こういう時、一体何を話せばいいのだろうか。わからない。
コミュ障なのだ、私は。
幼稚園に行っていなかった(というか行かせてもらえなかった)私にとって、家族じゃない他の他人と触れ合うのは、本当に稀で、小学校で初めて外の世界に触れた。
入学式でみんな大人しく椅子に座って名前が呼ばれるのを待っている。私は周りをキョロキョロして落ち着かなかった。こんなに大勢の人を見るのも、それに囲まれるのも初めてだったのだ。
広い茶色い体育館に赤と白の縞模様の垂れ幕が右も左も垂れ下がっている。白ご飯に梅干を乗せたような絵が描かれている……国旗というらしい。色とりどりの決してきれいじゃない、無駄に大きな花がガラスの瓶から刺さっていて、その横で眼鏡のおじさんが話している。
「キミたちはこれからいろんなことを今、横にいるお友達と一緒にお勉強します。」
お勉強って何だろうってずっと考えていた。お友達ってなんだろうってずっと考えていた。とてもつらくて悲しいものじゃないかって不安だった。
でも、違った。お勉強はとても楽しいものだった。
私がしゃべる言葉が文字となって表せる。ひらがな。私にとってのひらがなは魔法と同じだった。この魔法を使いこなすことによって私は、素直な自分を表現できた。憑りつかれたようにひらがなを練習して、クラスでも、公文に行っていた人達の次には完璧にひらがなが書けるようになった。
何かができるようになると嬉しいもので、私は夢中でノートにひらがなを使って想いを曝け出した。
『おともだちがほしい。』