ほら、そうやってすぐ死ぬ。



「なってあげようか?」

驚いて顔を上げるとそこには私の知らない顔……でも、屈託のない笑顔で世界一優しい笑顔に見えた。

「ねえ、おともだちが欲しいんでしょ? なってあげようか?」

それから私は彼女とどこへ行くのも一緒だった。豆と人参って言うのかな、そんな感じ。

休み時間は一緒に恋の話をしたりした。トイレに行く時も、移動教室の時も一緒。給食の時は、席が離れていたからお互いにコッペパンを片手に手を振って笑い合った。

「昼休み、吊り輪の前で集合ね?」

「わかった!」

吊り輪をして遊んだ。私は運動神経はそこそこよかった。逆に彼女はぽっちゃりとしていて、運動は苦手だった。ぶら下がったまま、次の輪に手を掛けることが出来ず、片手を離すと、その巨体を支えきれず、しりもちをついた。そんな彼女を私は励ました。

「大丈夫だよ、絶対できるよ!」

彼女は頑張った。手にマメをつくって、一生懸命努力した。私も彼女に負けないくらい一生懸命応援した。

「もうちょっとだよ!」

「頑張って! ほら、そこ!」

「あー……惜しい、惜しいよ!」

「ほら、もう一回! ほら、頑張って! もう一回!」

「あー、またダメか……なんでだろ……。」



< 187 / 219 >

この作品をシェア

pagetop