ほら、そうやってすぐ死ぬ。



「ど、どうして……。」

へへっ、へへへっ。

確かに嬉しいよ? でもね、戸倉さん。私はそれ以上に人が死ぬところを見てみたいんだよ。

しかもそれが戸倉さん。私が心を許した戸倉さんだったら、ああ、どんなに素敵な物語になるだろう!

心を許した人をサバイバルナイフで刺す。背中に一刺し。そこから血がダラダラと溢れてくる。

いや、ダラダラという速度じゃない。物凄い速さでその真っ白なセーターを血が走り廻っていく。

紅く赤く染めていく。染めていく。染めていく……。

火山噴火のマグマのように、赤く。でも、身体は冷たくなっていく。徐々に。震えている。

「しゃ……しゃえこ……。」

ああ、今まさに戸倉さんの命の灯が消えかかろうとしています。でもダメ!

私はサバイバルナイフを抜き、心臓にぶすっと一刺し!



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