ほら、そうやってすぐ死ぬ。
サバイバルナイフを静かに抜いた。そして、血だらけで横たわる戸倉さんの傍で体育座りでじっくりと眺めた。
戸倉さんの見開いた目。透き通った鼻。だらしなく開いてよだれが垂れている口。黒に近い茶髪。その生え際がほんの少し黒くなっていて、フケだろうか、白い点が髪の毛にいくつか付いている。
耳たぶを触ってみた。軟らかくて、しかし冷たい。しゃぶってみた。何てことはない。でも、下半身が疼くような感覚がある。快感を感じているのだろうか。こんなことで? 私ってやつは、まったく。
それから写メを撮った。いろんな角度から、いろんな構図で撮りまくった。私には写真の才能があるのかもしれない。こだわり始めたら止まらない。
光の加減、陰の具合を配慮して、いい塩梅の箇所を見つけ、手ブレしないように脇をしっかりしめてシャッターを切る。電子音が鳴り響く。今度はサバイバルナイフを突き立ててみる。死体にナイフを突き立てるのもなかなかいい感触で、癖になりそうだ。
死体にナイフを突き立てるのが癖だなんて、私やっぱりいかれてるわ。