ほら、そうやってすぐ死ぬ。
ナースが「また来るねー?」と馴れ馴れしくなってきたところで、入れ違いに母さんが病室に駆け込んできた。
「あんた。大丈夫なの?」
「見ての通り。」
母さんは備え付けの硬い椅子に座りながらそっと胸をなで下ろしたようだった。
「もう! 心配したんだからね? あんたになんかあったら母さん、これからどうやって生きていけばいいのよ!」
私にはお父さんはいない。詳しくは知らないけれど、生まれた時からそれが当たり前になっている。
母さんは女手一つで私を育ててくれている。夕方までスーパーのレジ打ちをして、一旦帰宅して、私の夕飯を作る。そして、夜から自らが経営しているスナックで働いている。
お小遣いが欲しい時は私も働くことがあって、受験や就職に失敗したらそのスナックで働こうと考えている。
まあ、食いっぱぐれることはない。あくまで保険だけど。