ほら、そうやってすぐ死ぬ。



「それより今午前なの? 午後なの?」

母さんは時計を見ながら、

「午前よ。しかもほとんど夜明け。」

「仕事あるんでしょ? 行かなくていいの?」

母さんは私の問いに言葉を濁した。

……まずいな。

こういう時、母さんは大抵何かを隠している時で、その隠し事とは決まって私の人生にも影響を及ぼしかねない重大なことだったりする。

スナックをやると言い始めた時も、経営が思わしくなく、借金をしてしまい、私の大学へ行くための学費を返済に企ててしまった時も今みたいに、普段見せないような顔をした。

はあ。しょうがない。



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