ほら、そうやってすぐ死ぬ。



それにしても驚いたな。

母さんが再婚するなんて。

まあ、私にとってはお父さんが出来るってことなんだけど、今更お父さんなんて呼べないし、思えない。

ただの公認会計士の男の人。母さんのボーイフレンドくらいに思っていればいい。

ともあれ、幸せそうな母さんの表情を見てると、落ち着く。

不幸な事続きで、この不幸の連鎖からやっと解放できそうだ。

「母さん。ちょっと散歩してくる。」

「あっ、こら! ダメよ! 冷静にしてないとー!」

病棟内に響く大きな声でそう叫ぶ母さんに私は手を振った。

母さん。冷静にじゃなくて、安静にだよー?



< 39 / 219 >

この作品をシェア

pagetop