ほら、そうやってすぐ死ぬ。
櫻子と優香の死を知っていた?
これはどういう意味だろう。
「死を知っていた」知っているの間違いか?
いや、それにしてもおかしい。
だって、私を含めたクラス全員が告別式に参列しているし、弔辞を読んだ張本人が知らないなんてことは言わせない。
だから、知っている。ではない。
知っていた。であってる。
それはそれでおかしい。知っていたってことは、予知していたことになる。
櫻子の自殺の予知は可能かもしれないけど、優香に関しては不慮の事故だ。
それを予知するなんて、エスパーじゃないと無理だ。
「ねえ、紗栄子ちゃん。これ。」
ナースがチョコリングを両手で持ち、目をうるうるさせている。
「いいですよ。よかったらどうぞ。」
「わーい! ありがとー!」
もしかしたら、私はとんでもないことに巻き込まれているんじゃないだろうか。
科学では証明できない何か、おとぎ話のような出来事に。
私はふと、チョコリングを頬張るナースを見た。
いやいや。有り得ない。少なくとも彼女は正常だ。