ほら、そうやってすぐ死ぬ。



あれから佐野くんとは会っていない。

同じ階だからその辺を歩いていればきっと会えるだろうと思っていたんだけど、甘かった。

廊下を歩くことがあまりないのだ。

トイレは各病室のところに備え付けてあるし、シャワーは浴びれるほどの体力が回復していない。

食事はベッドまで運んできてくれて、済んだら下げてくれる。

お茶もタンブラーを置いておけば勝手に注いでくれる。

そんなだから、佐野くんを見つけるどころか歩く機会を見つけなければならなかった。


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