ほら、そうやってすぐ死ぬ。
霊安室の扉のちょうど柱になっているところで、1人の男の子がそれにもたれながらスマホをいじっていた。
運命的な瞬間。間違いない。佐野くんだ。
佐野くんが何故こんな所にいるんだろう。
「佐野くん?」
私の呼びかけに気づいた佐野くんは、軽く手を挙げた。
「紗栄子ちゃん。」
「こんなところで何やってるの?」
「そっちこそ、何やってるの?」
「私? 私は……。」
暇つぶし。そう答えるだけだとこの運命的な再会のムードが崩れてしまいそう。
「何となく、佐野くんがいるような気がして。」
そう言った私の言葉に「はあ?」と眉を潜める佐野くん。