ほら、そうやってすぐ死ぬ。
金城の本性はやはり馬鹿
食欲が戻ってきた頃、母さんは再婚相手を病室に連れてきた。
再婚相手。実質、私のお父さんになる人だけど、いくらお父さんになるからって、赤の他人なわけで、年頃の女の子の病室に呼ぶなんて、ありえない。
まあでも、それだけ母さんにとって大事な人だし、母さんはそういう気遣いができない人だ。しょうがない。
「この人が母さんの彼氏の金城守さん。」
母さんが金城さんのことを彼氏と呼んだことに、吐き気がした。
そして、当の本人、金城さんはというと、40代くらいで、白髪混じりの髪をオールバックにして、ムースでガチガチに固めている。
服装は茶色のスーツを上下。水色のカッターシャツはしっかりと上までボタンが締められているのに、エンジ色のネクタイはカッターの第一ボタンの下で止まって、半旗のようになっている。
靴は……汚い。ああ、ダメだ。この人は仕事が出来る風を装っているだけで、実際はできない人。
できる人は靴は磨く。それも顔が映るくらいピカピカに。
惜しいなと思ったけど、まあダメな母さんの再婚相手と考えるなら、及第点といったところだろう。