ほら、そうやってすぐ死ぬ。



とにかく、そういう「あっち側の人達」が進んで立候補するような委員長はやらない方が健全。

立候補なんてしようものなら、その人はそういう気がなくても、周りが「あっち側の人達」として、認識してしまう。

……櫻子のように。

「それでは、クラスメイトを代表して、金子伸介さん、お願いします。」

金子が呼ばれ、遺影の前に立たされ、ポケットからクシャクシャになった紙を取り出した。

「ちょっ、ちょーじ!」

金子の第一声に、周りの男子がクスクスと笑い出し、それを女子が睨みつけた。

でも、はっきり言って私も思わず笑ってしまった。

金子の言った、「弔辞」のイントネーションが「長寿」のイントネーションに近かったのだ。

傍から聞いていると「ジョ、ジョージ!」とカナダ人留学生と偶然、ニューヨーク市内で再開した時の第一声にも聞こえる。



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