ほら、そうやってすぐ死ぬ。
「金城。あんた、私が死んで本当に好都合かしら?」
「ああ、そうとも。秘密を知るのは少ない方がいい。」
「それもそうね。秘密は誰かに知られないようにするから秘密だもんね。でも、あなたが母さんに秘密があるように、母さんもあなたに秘密を持っている。」
金城の手元が緩んだ。
「何が言いたい?」
「母さんのことをあなたは100%知らないでしょう。例えば、過去にどういう病気をしたとか。」
「知らないし、そこまで知る必要はない。」
「そうかしら?」私は金城のネクタイを掴んで引き寄せた。
「いい? あなたのような馬鹿はきっと、自殺に見せかけて母さんを殺すでしょう。でも、あなたはそこまでプロじゃない。現に、公認会計士を名乗っているけれど、なりきれてないの。服装で私に見破られるようなあなたが警察の目を欺けるかしら?」
「……どうすればいい?」
「私が協力者になってあげる。母さんを殺す手助けをね。報酬の2割は貰うとして、どうかしら?」
金城は一瞬、考えこみ、それから黙って頷いた。
それを見届けると私は金城に背を向けた。
「ちょっと待ってくれ!」
しぶしぶ振り返ってやる。
「キミは自分の母親を殺すことに何も感じないのか?」
私は嘲笑うかのように金城を見下した。
何も感じませーん。とでも言うかのように。