ほら、そうやってすぐ死ぬ。



そして、自殺に見せかけて殺すと言った金城のプランを聞いて、苛立ちは更に増した。

あまりにも幼稚で机上の空論。絵に描いた餅だった。

「遺書を書かせて、首を吊らせるって。あんたねえ、そんなこと本当に出来ると思ってんの?」

金城はできると言う。

だったら、やってもらおうってことで、私が母さん役になり、デモンストレーションを行った。

金城は愛用ナイフを私の喉元にあてがい、「遺書を書いて首を吊れ」と強要する。

そんなことだろうと思った。

「あのねー、まず首を吊れってナイフで脅されて誰が吊るのよ?」

金城はでも、銀行強盗やコンビニ強盗はそうすると言う。

「それはそれよ。銀行強盗は、命が惜しければ金を出せでしょ? でも、あなたのしようとしてるのは、命が惜しければ命を出せって言ってるじゃない。」

金城がポンッと手を叩く。馬鹿だ。


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