フィンセはナンバー1
「勝手に決めないでよ!」
あたしは、唇を尖らせながら文句を言う。
「まぁーまぁー。会うだけでもいいから、会ってきたら?」
お母さんが、台所から顔を出す。
「お母さんまで!」
認めたわけじゃないけど、どんな人か気になるので、とりあえず、お父さんと一緒に相手の家に行くことした。
「お父さん……。本当にここの家なの……?」
あたしは、唖然とした。
到着した所は、何百坪もある豪邸だったからだ。
「そうだよ。家も豪華だろ?」
そう言うと、チャイムを鳴らした。
「はいー」
インターホンを通して、中年の女の人の声が流れてきた。
「あのー。坂口ですが……」
お父さんが、名前を言うと、門がゆっくりと開いた。
あたしとお父さんは、門を通り抜け、庭に入っていった。
庭は花壇が、きちんと手入れしてあって、花が綺麗に咲き乱れていて、その横には、噴水がドーンと建っていた。
「お待ちしておりました」
家の中から、インターホンから流れたてきたと見られる、女の人が出迎えてくれた。
「旦那様は、奥でお待ちです」
どうやら、この人はメイドさんみたいだ。