フィンセはナンバー1
 お父さんは、溜め息混じりで言う。

「陸斗はいないが、まぁー、ゆっくりとしていってくれ。おーい、金森!」

 三浦社長が呼んだのは、服装をびしっと決めた執事だった。

「旦那様、お呼びでしょうか?」

「悪いが、お茶を用意してくれないか?」

「かしこまりました」

 金森さんは、礼儀正しくお辞儀をすると、部屋から出て行った。

 さすがは、大手会社の社長さん。メイドや執事も雇っているのもわかるような気がする。


 それから、三浦社長とお父さんは、積もる話もあったのか、会話は長々と続いた。


 会話の中で、三浦社長の息子さんの陸斗君は、あたしより1つ上の高2と言うことがわかった。




「こんな時間まで、長々と悪かったなー」

 2人の話が終わったのは、外は薄暗くなった頃だった。

「琴音ちゃん。また、遊びに来てね。今度は、息子がいる時に」

 三浦社長は、あたしの手を握り締めた。

「は……はい」

 今日は、お父さんに言われて、興味本位でついて来ちゃったけど、婚約のことは認めたわけじゃないし、遊びに来るなんてごめんだ。



「琴音。三浦に気に入られたみたいで、良かったなー!」

 家へ帰る途中、お父さんは
< 4 / 140 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop