フィンセはナンバー1
 確かに、そう言ったよね……?


「琴音様と、ご一緒だったのですね。お部屋に、何かお飲み物でもお持ちしましょうか?」

「あの、金森さんー。母から、三浦社長に届け物を預かって来ただけなので……」

 あたしは、おずおずと紙袋を差し出した。

「それはそれは。わざわざ、有り難うございます」

 金森さんが、紙袋を受け取ると同時に、

「金森、この子と話があるから」

 りく君が、あたしの腕を掴んだまま歩き出した。



 階段を上がって行くと、奥の部屋に連れて行く。

 りく君は、ピタッと足を止めた。

「あんたさー。わざわざ、家に来て何が目的なわけ?」

「え……。目的って、さっき金森さんに言ったでしょ?届け物を持って来たってー」


 ちょっと、何その態度!テレビの中のりく君と随分、イメージが違うんだけど。

「それは、立て前だろ?婚約者が芸能人だと知って、会いに来たわけか?」

「ち、違います。大体、りょう君が婚約者だなんて知らなかったしー」


 りく君ファンとしては、びっくりもいいとこだ。


「親父の奴、こんなちんちくりんな奴を、俺の婚約者だなんて、何、考えているんだかー」
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