フィンセはナンバー1
りく君が、ボソッと呟いた。
「ち、ちんちくりんって、あたしのこと!?」
「あんたの他に、誰がいるんだよ?」
りく君は、うっすらと笑みを浮かべた。
「……!!」
今までのりく君のイメージが崩れ落ちた。
「とにかく、あんたが婚約者だなんて、俺は絶対に認めないから」
りく君は、あたしの耳元で囁いた。
「べ……別に、あたしだって、りく君がフィンセだなんて、こっちからお断りよ!」
あたしは、ムスッとした顔でりく君から、目を逸らした。
「今日は、席替えするぞー」
翌日、学校へ行くと、担任の北条先生が、クラスのみんなに声をかけた。
廊下側から独りずつ、くじを引いていく。
あたしの番になって、くじを引くと窓際の一番後ろの席だった。
「昨日は、最悪だったから、今日はラッキー」
あたしは、ガッツポーズを決めた。
「そんなに昨日、最悪だったんだ?」
「そうなの!りく君が……」
と、言いかけた時、ハッと隣の席へ目をやった。
隣の席には、クラスでも結構人気の男の子、南直也君が座っていた。
南君とは、挨拶程度で、あまり話したことがない。