フィンセはナンバー1
「りくって、人気モデルのか?」

「あ、えーと。りく君に似た人に悪口を言われて……」

 あたしは、慌ててごまかす。

「それは、酷いなー。坂口さん可愛いのに」

「可愛いって、あたしがー?」

「うん」

 南君が、コクリと頷く。


 何ー?この違い!?南君の言葉を、りく君に聞かせてやりたい。


 それから、あたしと南君は、席も隣ということもあって、結構、話す機会が増えていった。




 2、3日経ったある日ー。

「はぁー」

 あたしは、深い溜め息をついた。

 今朝、学校に行く前に、お母さんから三浦社長が、あたしを今日の夕食に招待したいと言っていることを聞かされた。

 お父さんが言っていたように、あたしのことを、凄く気に入ったらしい。


「どうしたの?溜め息なんてついて」

 南君が、あたしの顔を覗き込む。


 南君の顔の近さに、あたしの心臓の鼓動がドキンと跳ね上がる。


「あ、うん……。英語の時間、当たるなと思って……」

 あたしは、慌てて誤魔化すと、机の中から英語の教科書を取り出そうとした。


「ねえねえ、聞いた?あの、噂」

 クラスの女子が、騒いでいるのが耳に入ってきた。
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