甘いささやきは社長室で




「真弓さんもああやって笑ったりするんだねー、相手が三木さんだからかな」

「じゃない?仲良いみたいだし、付き合ってるのかな」



仲良い、か……言われてみれば、たしかに。

三木に対しては、褒めたり近づくことを許すんだ。

そのたびに、チリ、と音を立てるこの胸の内を知らずに。



『マユちゃん』



呼ぼうとした名前を飲み込んで、僕は音ひとつ立てないように来た道を戻った。



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