甘いささやきは社長室で
『今夜は真弓さんをお借りします』
そのひと言とともに、ご丁寧に今いる場所の地図までつけられていた、三木からのメール。
それらから察するのは、三木がなんらかの思いを持って、今彼女といるということ。
触れられたら、なんて想像をするだけでいてもたってもいられず、足はひたすら駆けていく。
タクシーなんて、待っていられない。
どう伝えようか、そう思うばかりでまだ決まってなんていない。
だけど、考えている暇はない。
今は、ただひたすらに。その腕を引き留めたい。
その一心で、夜の街を駆け抜けた。