甘いささやきは社長室で
それから、会議や書類仕事など1日の仕事をこなし、迎えた夜の20時すぎ。
仕事を終えたあとの私と三木さんの姿は、新宿のとあるダイニングバーにあった。
薄暗い店内は白と黒のモノトーン調で統一され、スタイリッシュでおしゃれだ。
ほんのりと灯る明かりの下、四人掛けの丸テーブルを挟んで私たちは向かい合って座っている。
「おしゃれなお店ですね。よく来られるんですか?」
「時々、ですね。真弓さん、なに飲みます?」
三木さんはそう言ってテーブルの上のスリムな形のメニューを広げて私に見せた。
それに目を通して、すぐにドリンクのメニューを決める。
「私はカシスウーロンで」
それに頷くと、三木さんは店員を呼び私の分のカシスウーロンと、自分の分のジントニックを注文した。
ほどなくして運ばれてきた飲み物に、私たちはお互いにグラスを持つとコン、と音を立て合わせる。