甘いささやきは社長室で
「ねぇ、マユちゃん?」
「はい?」
「永遠がないとしても、僕はずっとキミが好きだよ」
いつか途切れてしまうとしても
永遠なんてないとしても
それでも今、ここにキミがいる。
キミを想う、心がある。
その想いだけを信じよう。
「だから、桐生絵理になりませんか」
囁いた言葉に、彼女は僕の胸に顔をうずめたまま上を向くことはない。
けれど、真っ赤な耳ひとつで、どんな顔をしているかなんて簡単に想像つく。
「……付き合って間もないのに、話が早すぎです」
「思い立ったが吉日、っていうでしょ」
スーツ越しに感じる彼女の熱い体温に、抱きしめる腕に力をこめた。
「……前向きに検討します」
「良いお返事をお待ちしてます、僕だけの秘書さん」
そんな事務的な言葉遣いをして笑うと、そっと重ねる唇。
人目を忍んだキスに、愛しさはいっそう込み上げる。
ずっとずっと、キミが好きだよ
だから、身も心も
全部僕にください。
end.