先生、ずっと好きだから。
「あれ、先生今日メガネ?」
数学のプリントを出しにきた美里と私は鈴原先生に聞く。
(メガネも似合うなあ…)
「うん、いつもコンタクトだから」
メガネをかけたレアな先生が見れてすごく嬉しかった。
「かっこいいですよ」
「お前、この前俺のこと、馬鹿にしてたくせに」
「えー?」
ペロッと舌を出して美里は答えた。
確かに、かっこいいてほどかっこよくない…いやお世辞にもかっこよくはないが、私の中の変なフィルターがかかってるせいで、多少はかっこよく見えた。
「あ、これ、プリントです」
「お前がこのボールを受けるようになったら受け取るよ」
「え?」
バレーボールを差し出して少しいたずらっぽく、また少し本気な顔で私を見る。
「冗談だよ」
「でも、それ、本気で悩んでいるかもです」
「なら入部届け、用意しとくな」
ニコッと笑って、私たちの数学のプリントを先生は受け取った。

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