先生、ずっと好きだから。

入部

あの先生に話しかけられ、少しバレーに行くのが怖くなった。
「空はなんの部活にはいるの?」
空は、中学から一緒にあがってきた唯一の友達だ。
「ソフトかなー」
「ソフトかあ…」
空の中学校やっていた部活はこの高校にはなく、部活はなににするか悩んでいた。
それに私も、新しいことに挑戦したい、と思っていた。
「明日、入部届けだそうよ」
最初は、新入生だから楽なんだろうなと思ってた。

「ふう」
体験を終えて、疲れを吐き出す。
(割ときつかった…)
「せんせい、私、マネージャーになりますね」
「そっか、分かった。頑張れよ」
「はい」
「空、マネージャーになるの?頑張って!」
「おう」
空はすっごいドヤ顔をして、こちらにグッドサインを出した。

「入らなかったんだね…」
悲しそうな顔をした、あの知らない先生はコッチを見てそういった。
「ちょ、瑠奈、あいつ、だれ」
すっごい不安そうな顔をして私の肩を美里は揺らす。
「多分、バレーの顧問…」
「は!あれが?先生?」
大人の割りには少し子供っぽさが残った顔つきをしていた。
「ちょ、美里聞こえるじゃん、多分あの人、気にしてるとおもうよ…」
「知らん」
少し…いや、かなり傷ついた顔をした先生は去っていった。
(なんか申しわけないな)

私たちのほかに、ソフトへの新入部員は6人入った。
田舎の高校の部活にしては大収穫だ。
「さ、これから本格的な練習をしようか」
それから地獄のような練習は毎日続いた。
…ただひとり、木陰に佇み、ノートを手に持った空を除いて。
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