あなただけを、愛してる。
洗面所で目を閉じて時間をつぶした。
彼とメイさんの会話を聞いているよりずっとこっちの方が楽。
かなわない恋なんて捨ててしまえばいいのに……それができない。
彼が好きで、好きで、たまらなくて。
洗面所にずっといるのも不自然なのでキッチンへ移動。
そのうちリビングから話し声は聞こえなくなった。
「……電話、終わったんですか?」
リビングへ入るともうすでにコートを着た彼がいた。
「あぁ。そろそろ帰るよ。明日も仕事だろ?」
「え…はい……。」
「じゃぁ、また。」
彼はそういうと足早に玄関へと向かう。
「気を付けて、おやすみなさい。」
私はそう小さく言って彼を送り出した。