あなただけを、愛してる。



俺は完全に気づいていなかったわけではなかった。




彼女に触れる度にあふれる感情がほかの女に触れる時とは違うことにも、


彼女を独り占めしたいという感情にも。





でも、

「あ、晴さん。ごめんなさいお待たせしました?」


金井グループ社長令嬢、金井メイ。

俺の婚約者。


「いえ、メイさんを待つのは苦ではないので。」


営業スマイルをつくる。



俺は近々この金井メイと結婚する、いや、させられる。


政略結婚。
俺は会社のために、自分を売る。


会社のために、金井メイのご機嫌を取る。


会社のために、三輪唯子への思いを捨てる。


 


 



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