あなただけを、愛してる。



「メイさん、ご用件は?」


さっさと済ませたい俺は話を前にすすめる。


「そんなにあせらなくても。」


彼女はまた小さく笑う。


そして彼女は立ち上がり俺の目の前へとやってきた。


「今夜、抱いてください。」


彼女は俺の瞳をまっすぐに見つめた。



婚約者、とはいっても体の関係を持ったことはなかった。


金井メイとの結婚はそもそも俺の望んだことではなかったし、抱きたいという衝動に駆られなかった。


唯子と出会ってからはなおさら。


だから驚いた。


「いやですか?私を拒絶するんですか?」

しばらく黙っていればそんなことを言ってのける。


「抱いてくださらないならお父様に…」


なぜそこまでして、手に入れたいのか。


俺は、なんて情けない男なんだ。


彼女の肩を抱いて近くの高級ホテルへと入る。



 
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