あなただけを、愛してる。



部屋につくと同時に彼女を自分のほうへ引き寄せそのまま首筋に唇を這わせた。


彼女の服を脱がせるたびに一瞬冷静な自分に戻る。


何やってるんだ…


でも俺には会社が一番だった。


あの会社を大きくするのに前社長である父や社員たちがどれほど頑張ったか…


冷静な自分を消し去るためにそう思う。


そして、金井メイの吐息を聞く。


「晴…」


彼女をベッドに押し倒したとき、呼ばれた。


「メイさん。」


そういえば、唯子に名前を呼ばれたことなかった。


いつも愛おしそうに鳴く彼女だけど、俺の名前は呼んだことがない。


そんな名前を、婚約者に呼ばれる。


唯子に、呼ばれたいな。


また、俺らしくもないことを…。



 
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