あなただけを、愛してる。
彼女の部屋についてインターホンをならせば愛しい彼女が中から出てきた。
今すぐにでも抱きしめたかった。
抱きしめて、俺のものだけにしたかった。
「なんで怒らない?」
「え?」
「この前のこと。連絡もなしに来なかったこと。」
俺はずっと聞きたかったことを投げかけた。
『彼女じゃない』
その言葉を言われた俺の衝撃は予想以上に大きかった。
彼女じゃない、
確かにそうだ。
俺には婚約者がいるし、唯子と付き合っていると知れたら会社の将来にかかわる。
でも、それを改めて言葉にされると、その現実を受け止めなければいけなくなる。
唯子は俺のものにならないんだと。
そして、その言葉を口にした本人の顔も苦しそうで…
唯子にこんな顔をさせているのは、俺だ。