あなただけを、愛してる。
「でも、ダメなの。私が好きな人は、彼じゃない。もしこのまま付き合ったとしても、彼を傷つけるだけだと思うから…。」
梅酒サワーを口にしてそう言った私の言葉に夏目くんはため息をついて笑った。
「唯子ちゃんも真面目だねー。もっと遊んだらいいのに。でも、そんなとこがまた桜井のツボなんだろうなぁ。」
「変わり者だよね、桜井くん。」
「唯子ちゃんもね。」
終電も近づいてきて日野くんたちが桜井くんを、私は由奈を送ることになってこの日は解散。
「唯子ちゃん、桜井のこと、もう少し考えてみてほしい。困らせたいわけじゃないけど、でも…桜井、ホントに唯子ちゃんのことだけしかみえてないから。」
意識がほとんどない桜井くんを支えながら夏目くんは私に真剣にそう言った。
「うん。ありがとう。桜井くん、こんなにいい人たちに囲まれて…類ともかな?」
「唯子ちゃんさらっと人を褒めるよね。俺も落ちそう。」
笑う夏目くん。
私の中で、桜井くんの存在がだんだんと大きくなっていけばいい。
桜井くんは、きっと私を幸せにしてくれる。
そうに、違いないのに…。