1弦の先を、君と。

chord G





全速力の自転車と、朝っぱらからの説教により


体力・気力諸共奪われ、脱力したまま教室へ向かう


HR終了と同時に入れば


入学式には無かった賑やかさに迎えられた


あちこちで広がっている人の輪


そんな状態に出会すと焦るもので


俺も早く話せる奴作らねぇとな


そんな事を考えながら


まだ慣れない足取りで自分の席へ向かう


窓際に位置するその席は


教室全体を見渡すのに都合がいい


教卓前に集まり話を交わす人


次の授業の準備を始める人


2つある入り口と廊下を挟み追いかけあっている人

カバー付きの本を広げ静かに読書を始める人


一つの机に群がりやけに盛り上がってる人


中学からの友達でもいれば話しやすいのに


新しい環境に上手く馴染むまでが難しい


人見知りがちな俺にはより一層困難だ


誰かに話しかけようか...


誰か...


だれ、


「...っと!...ちょっと!藤ヶ谷さーん!」


「うわっ!」


耳元で大きな声が聴こえた


「さっきから話しかけてるのに無視してひでぇなぁ」

「...なんで馬がいるの」


「おんなじクラスだから!あ、あと馬面な人に馬呼びはキツいから」


いた


同じ中学出身の奴


「あれ?郁人、入学式いた?」


「いたよ!俺はずっといたわ!」


コイツは、河合郁人


中学からの友ダチ...馬ダチだ


それにしても本当に気が付かなかった


この高校を受験したとは知っていたが


まさか同じクラスになるとは


「で、新学期早々遅刻ー?」


「そんなとこ」


「太ちゃんも落ちぶれたことー」


「太ちゃん呼び止めて」


「ついうっかり」


< 4 / 4 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:1

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

自己満足 いちゃいちゃ
都桃/著

総文字数/2,153

恋愛(その他)4ページ

表紙を見る

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop