Tokyo Dark Side
辿り着いた先は、診療所から程近い古びた雑居ビルだった。

嘗て火災でも起きたのだろうか。

煤けて老朽化や損傷が激しい。

立ち入り禁止の札が貼られていた。

昼尚暗いような建物の中。

2人はサングラスを外し、中へと侵入していく。

割れたガラスやコンクリート片を踏み締める音だけが響く。

GPSの反応は、ここで間違いない。

果たして美奈は何処にいるのか。

「二手に分かれますか?」

巽の提案。

「いや…単独になればクリスの二の舞になりかねん」

美奈を攫われたといえ、倉本は何とか冷静さを保っていた。

流石は刑事達の指揮官的存在。

決して取り乱す事はない。

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