Tokyo Dark Side
ゆっくりと瞳を開ける美奈。

「あらぁ…倉本さんじゃない…」

連れ去られる際に後頭部でも殴られたのか。

多少顔を顰めながら、美奈は呟く。

「これって…囚われのお姫様ポジションよね…環ちゃんの役、奪っちゃったかしら…」

「…全く」

苦笑いする倉本。

冗談を言う辺り、深刻な怪我はないようだ。

自然に、ごく自然に。

倉本は美奈を抱き締める。

「おっと…」

巽が咄嗟に背を向けた。

先輩のプライベートなシーンだ。

目を逸らしておくのが気の利く後輩というものだろう。

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