Tokyo Dark Side
肩を並べ、夜道を歩く倉本と美奈。

「私が誘拐されたの知って、慌てた?」

「ああ」

「身辺警護対象者が攫われたから?」

「近しい友人が連れ去られたんだ。自分みたいな鈍い人間でも慌てる」

「友人なんだ?」

「違うか?」

「後で巽君に、その時の様子を聞くわよ?どうせ本当の事はすぐ分かるわよ?」

「……」

美奈はなかなか取り調べが上手い。

倉本の自供も時間の問題だった。

「自白するまで帰さないわよ?何ならカツ丼でも食べる?」

「参ったな…」

頭を掻く倉本。

どうせ診療所は荒れ放題だ。

片付けを手伝ってやるつもりだったので、すぐには帰れまい。

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