Tokyo Dark Side
伊庭が床に叩き付けられる音。

それに気付いて亮二と松岡が振り向くと同時に。

「うぁあぁあぁあああっ!」

永瀬は形振り構わず突進、環を床に押し倒し、その上に覆い被さった。

「な、永瀬さんっ?」

驚く環。

「いいから動くな、俺の下に隠れていろ」

永瀬は必死の形相で環に言う。

「君は俺が必ず守る」

「…何だぁ?」

無様な永瀬の姿に、松岡は苦笑さえ浮かべる。

しかし無様なようでいて、これが現在最善の策だった。

亮二、松岡、伊庭といった超一流の暗殺者が揃う中で、永瀬1人で環と美奈の2人を無事脱出させるのは不可能に等しい。

美奈などは気を失ったままなのだ。

彼女を担いで3人の暗殺者から逃げおおせるのは、あまりに無謀だ。

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