Tokyo Dark Side
「……」

歯噛みしながら。

「今の所、特に情報はない」

倉本は答える。

下手に刺激すれば、我妻はここで発砲しかねない。

通行人にも犠牲者が出かねないのだ。

それだけは避けねばならなかった。

「本当だろうなテメェ。出し惜しみしてたら只じゃおかねぇぞ」

「出し惜しみなどしていない」

緊迫の睨み合い続く両者。

ややあって。

「だったら、はじめからそう言え馬鹿野郎」

もう用はないとばかりに、我妻はさっさと踵を返して歩いて行く。

騒然とする繁華街の人々にも、倉本にも興味を示さない。

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