『忍姫恋絵巻』


「赤は、あたしが徳川にくる前も、家光を守ってきたんだし、何より信頼できる赤になら、家光を任せられる」

「おい、何言って...」


あたしは...。
あたしの弱さのせいで大切な人が傷つくのは嫌。
これは、優しさとかじゃなくて、あたし自身がそれを誰よりも恐れてるから。


「赤、あたしはここで徳川から離れるよ。あたしがいなくても、父上が...


「何言ってんだ!!才氷の代わりなっていないんだよ!!」


あたしの代わりなんていくらでもいる。
家光は、人懐っこいし、きっとすぐに次の護衛とも仲良くなれるよ。


「もう決めたことなの!!」


できるなら、ずっと傍にいたい。
だけど、それを選ぶ資格は、あたしには無いんだから。









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