『忍姫恋絵巻』
「でも..」
こんなこと言ったら、甘いかな。
「おい、才氷??」
ふらつくあたしに気づいた赤が、あたしの肩を支える。
「戦いたくない..先崎も、諦めないでほしい...」
「服部 才氷..」
ドサッ
あたしはついに体を支えられなくなり、赤の胸に倒れこむ。
「体が熱い、薬か!?」
「あ、こいつ、さっき俺の痺れ薬飲んだんだよ。よくもまあ、ここまで立ってたな。ほら、解毒剤だ」
五右衛門が、赤に解毒剤の入った液体を手渡す。
解毒剤……。
少なくとも、五右衛門もあたしたちを敵とは思ってないってことかな。
そうだと…いいな。
「私達は一度織田へ帰る。次会った時、私も...戦いたくないと思っている」
そう言って、先崎と五右衛門は姿を消した。
部屋には、あたしと赤だけが残される。