『忍姫恋絵巻』
「才氷、解毒剤飲めるか?」
赤に抱き起こされ、口許に解毒剤の入れ物の縁を当てられる。
「ん…大丈…ゴホゴホッ!!」
そう言って解毒剤を飲もうのすると、うまく飲み込めずむせてしまった。
ダメだ、うまく飲めない。
それに、なんだか体がすごく怠い。
まずったな…。
ちょっと、離しすぎたかも。
「才氷、すぐに楽にしてやるから」
そう言って、なぜか赤は解毒剤を自分の口に含んだ。
「赤…?」
あたしの解毒剤、なんで飲んで……。
すると、赤はすぐにあたしに口づける。
その瞬間、ドロッとした液体が、流し込まれた。
「んっ!?」
「………っ」
これ、解毒剤!?
吐き出そうとするあたしの後頭部を押さえつけて、深く口づけてくる。
ゴクン
「ふっ…あ……」
「やっと飲んだな」
飲んだことを確認すると、赤はあたしから離れて、自身の口角から流れた解毒剤を親指で拭き取った。