『忍姫恋絵巻』



「春日局様~連れてきましたよー」


襖の前で、霧隠 赤が声をかける。


「入りなさい」


促されて入ると、そこには一つに束ねた長く美しい黒髪を撫でながら、あたしを見上げる男性と目が合った。


この人が、大奥総取締役、春日局(かすがのつぼね)。なるほど、裏の支配者ね。


実質、大奥を動かしてるのはこの人だし、参謀と言ってもいい。


「服部 才氷だな。徳川城へようこそ」

「いやいや、ようこそって言うか、説明して下さいよ」


もう、本当にいろいろと!!
父上は知ってたの?まさか、こうなるように仕向けた!?


「あぁ、お前の父てある服部 才蔵(はっとり さいぞう)は、全て承知の上だ」

「やっぱりか……」

後で、絶対文句言ってやる。


「今回お前には、重要な任務を与えようと思う」

「任務??」

「それを話す前に、簡単に今の徳川の状況を説明しよう」


そして、春日局は説明しだす。


昔から大奥は、将軍が男だった為に、女の園だった。


でも、3代将軍、徳川家光(とくがわ いえみつ)が生まれた事で、大奥は男の園となった。

なぜなら、徳川 家光はれっきとした女だったから。


女の将軍は本来、認められないけど、不幸な事にここ何年も
男の子を授からない為、女の将軍が誕生した。



徳川家光はまだ17と若い女で、命を狙われれば、抵抗する力も無い。



























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