『忍姫恋絵巻』


「でも才氷は、桜牙門の事を抜きにして幸せになるなんて、たぶん無理なんだろ」

「そ…れは…」

「なら、俺も巻き込め。1人になろうとするなよ」

「!!」


赤の言葉に、あたしは目を見開く。


どうして、あたしといたら信秋に狙われるかもしれないのに。負けたら、普通の死に方なんてきっと出来ない。


そんな目に合うかもしれないんだよ?


「俺の目の届かない所で、好きな女が傷つくなんて、耐えられねぇよ」


「好きな…女って…」


それって、あたしの事??
それ、期待してもいいの?


「まだ分かんねーの?才氷が好きだから、あの時だって、口づけしたんだ」

「!!」


胸が、ドキドキとうるさい。


好きだなんて、なんで今言うの。

あたしは、もうどんなに説得されたって、ここにはいられないのに…。



離れたくない理由がまた出来ちゃう。












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