『忍姫恋絵巻』
「え?」
驚いて顔を上げると、そこには桃色の長髪と瞳を持った、柔らかい雰囲気の青年が立っていた。
桜の…精みたい…。
まるで、この世の人じゃないみたいに綺麗。
一瞬にして目を奪われた。
その儚さに、幻かと錯覚するほどだ。
「とても運動神経がいいんだね」
優しい包み込むような声で、その人は喋った。
そして、青年はこちらにゆっくりと歩み寄る。
「!!」
あ、いけない!!
この人、敵かもしれないのに、ボーッとしすぎた!
慌ててあたしは身構えた。
「君は忍びかな、初めて見たよ」
青年は珍しいモノを見つけたと言わんばかりに嬉しそうにあたしを見つめた。