『忍姫恋絵巻』
⑦結託!忍の四鬼衆誕生の巻
「ん……」
目を覚ますと、見慣れた部屋に横たわっている。
「…ここは…」
そうだ、あたし在政様の事を皆に話したんだった。
それで、そのまま眠っちゃったんだな。
体から痺れも無くなったし、もう動いても大丈夫そう。
「あれ……?」
手に違和感があり、両手を見る。
すると、右手を家光様が、左手を赤が握っていた。
「ははっ、何これ。って、赤はいいとして、家光はここで寝てたらやばいんじゃ……」
この子、お姫様なんだけど??
しかも、雑魚寝だよ。
でも、きっとあたしが眠ってから、ずっと二人は傍にいたんだろう。
「本当に……優しい人達…」
離れるのが、寂しい。
とっくに、ここはあたしの居場所になってる。
「ありがとう、二人とも」
二人を起こさないように、そっと体を起こし、掛け布団を二人にかけた。
もう二度と、ここには帰ってこれないかもしれない。
静かに立ち上がり、襖に手をかける。
後ろ髪を引かれる思いだった。