『忍姫恋絵巻』
「才氷を1人で行かせたくない。それなら、俺もついていくから」
「っ!!」
そんなのっ…。
あたしだって、赤の傍にいたい。
不思議だった。
こんな奴、好きにならないって思ってたのに、気づいたらあたしの中でどんどん赤の存在が大きくなっていった。
「あたし…も……」
「傍にいたい」と言いかけて、口をつぐんだ。
これ以上聞いたら、あたしはきっと甘えてしまう。
もう、誰も巻き込みたくない。
ましてや、あたしのせいで傷つけたりなんかしたら、もう立ち直れなくなる。
あたしは決意して、赤の体を強く抱き締めた。
「才氷…?」
赤は驚いていたが、すぐにあたしを抱き締め返す。
「もっと、違う出会い方だったら良かったのかな…」
「違う出会い方?」
そう、あたしが忍びじゃないとか、あんな辛いことが起きなかったらとか。
考えたらきりがないけど…。
そうしたら、きっと赤には出会えてないのかもしれない。
それは、すごく悲しい。
でも、このままでは、あたしは弱くなってしまう。
大切な人が、あたしのせいで苦しむのは嫌。
だから……。
あたしは、決心した。