『忍姫恋絵巻』
「えーと、私は服部 才氷。あなたの影武者です」
あたしがそう言うと、家光様は目をぱちくりさせる。
「あなたが服部の忍!?すごいわ!カッコイイ!」
「っ!!」
な、何!?
声大きい、なんで嬉しそうなの!?
笑顔ではしゃぐ家光様に、あたしは固まる。
ちょっと、想像と違う!!
もっと、気の強くて、お転婆そう…って、それはあってるけど、もっと傲慢そうなイメージだったのに!!
「家光様はこんなんだからさ」
赤はあたしが驚いてるのに気づいて、笑った。
「才氷!あなたが私の影武者って事は、ずっと一緒よね!?」
家光様はあたしの腕に抱きついてくる。
な、何がなんだかもう……。
「そ、そうですよ、家光様」
とりあえず答えると、家光様は嬉しそうに笑った。
「やったぁ!!あぁ、でも!私の事は家光でいいわ!さぁ、何する!?才氷!!」
「え、えっと……」
し、質問攻め!?
この姫様、な、なんか疲れるー!!
家光はあたしの腕を引っ張り、畳の上に鞠や紙を広げはじめた。
「ね!何する!?」
家光は楽しそうに鞠を持ったり紙を持ったりとあたしに見せてくる。
まさか、あたしにこれをやれと??