『忍姫恋絵巻』
「へぇー、お前にもそんな顔出きるんだな」
「!!」
突然後ろから声をかけられ、振り返る。
「五右衛門か…」
げんなりした顔で五右衛門を見る。
五右衛門に恨みはないが、正直、家光を襲った事を根に持ってる。
それに、いつも軽い感じが、どうも…いけすかない!!
「おい。俺見た瞬間にその顔はどうかと思うぞ?」
「うるさい、からかう為に来たなら、さっさと帰れば?ここは、あたしが先客」
フイッと五右衛門から視線を反らして、また月を見上げた。
「ったく、年中ふてくされた顔してるくせに、こんな時ばっかりそんな、寂しそうな顔しやがって…」
「はぁ!?って、なんで隣にくんの」
五右衛門はため息をついて、あたしの隣に立つ。
そんな、しぶしぶ傍にいますみたいな感じなら、傍にいなきゃいいのに。
それに、あたし寂しい顔なんて……。
本当に、そんな顔、してたのかな。