『忍姫恋絵巻』


八雲の里についてから数日が経った。
そしてついに、月に一度の織田城への奉公の日。


伊津菜さん達里の女達は、織田城へと奉公へと向かった。


「あたしがするのは、織田城からこの屋敷に帰ってきた里の女達を、くの一にすり替えること」


あたしは、織田城から少し離れた村にある、織田の屋敷に身を潜めている。


夕刻になれば、伊津菜さん達が帰ってくる。
そうしたら、石川の里に彼等を誘導する手筈になってる。


八雲の里から石川の里までは、そう離れていない。
おそらく、3日も経たずに着くはず。



「皆、準備は大丈夫?」


あたしは、着替えを済ましたくの一達に声をかける。


「問題ありません、才氷様」

「我等がご当主、五右衛門様を救ってくれたご恩、必ずやお返しいたします」


彼女達は、石川のくの一。
服部の忍であるあたしにまで、敬意を払ってくれる。


五右衛門も、ちゃんと当主やってたんだな。


「あたしは、伊津菜さん達につくから、皆、その後の事はよろしくね」


「才氷様も、ご武運を」


そうして、あたしは屋敷の屋根裏に隠れた。








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