『忍姫恋絵巻』
夕刻、ついに屋敷に伊津菜さん達が帰ってきた。
それを、屋根裏から見守る。
「それでは、さっさと着替えて、屋敷の外に集まれ」
そう言って、織田の家臣が遠ざかるのを見計らって、あたし達は一斉に屋根裏から出る。
ここからは、時間の勝負だ。
「伊津菜さん達は、あたしと一緒に裏手から出るよ。石川のくの一達は、集合場所へ」
小声で指示を出すと、皆が頷いた。
「では、そろそろ私たちは参ります」
そう言って、くの一達が屋敷の外へと出ていく。
それを見送って、あたしは伊津菜さん達を連れて、裏手から屋敷を出た。